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妄想∞すてーたす

∞の現実ネタを取り入れたBL二次小説を創作しております。主にやすば中心ですが、メンバー全員愛してます。

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あいことば。

.







月を見て目を細める。
そこに君は見えないのに、まるで笑ってるようで、心が満たされる感覚に溺れる。

手を伸ばしたら届くような、ありえない夢物語を抱いて、現実を思い出す。

彼は、ここにはいない。


遠く離れた慣れない土地で、いったい何を想ってるやろう。
大阪を離れて、君は先に旅立った。
自分を置いてどこへ行くのかと聞いた時、返って来たのはなんとも言えない微笑みだけ。






……寂しいとか、言えばいいのに。






言えない事は分かってた。
彼の性格上、そういう弱味は見せないだろうと。


君はいつも我慢してそこに存在するから。




強くあれと、どこか遠くを見つめたまま。震える足を忘れようともがいて足掻く。
二本の足でしっかりと地に足ついたまま。


でも。
その姿が眩しくて、俺はすべてを求めてしまう。
その救いになりたいと欲してやまない。



これを愛というのならば、どれほど醜く重い感情なのだろう。
知られたくない想いが大きすぎて言葉にすることもままならない。

それなのに。
求める感情や欲する想いは募るばかりで、俺は小さく息をつき、また今日も空を見上げる。






「渋やん。今頃がんばっとるんかな」



がんばれ、って心で何度唱えたやろう。
その度に思い出しては恥ずかしくてひとり照れてしまう。
誰に聞かれてるわけでもないのに、渋やんの事になると普通ではいられへん。

なんや。
ほんまもんの乙女やないか。

自分で突っ込んで笑ってたら世話ないな。
アホらしなって肌寒い風から逃げるように部屋へと戻る。
今はもう、時計の針が0時を越えようとしている。


「そりゃ、寒いわ」


こんな冬になりかけの季節に、俺は薄着で何をしとるんやろうか。
これが最近の恒例行事になろうとしてるのだから困ったものだ。
アイドルたるもの自己管理くらいしっかり出来んでどうすんの。

渋やんの心配、してる場合やないで。




自らを叱咤して部屋に飾ってた写真を見つめる。

俺と、渋やん。

楽しそうに笑って、お揃いのアクセサリー身につけて、世の中の汚い事情とか何も知りません。って顔してる。


甘い甘い、大人になりきれてない時や。



でも。




「…楽しそうや」




めっちゃ。
楽しいって、写真からこんな滲み出るもんなんやろか?
首を傾げて苦笑する。
たぶん、俺らが単純で純粋なだけなんやろう。
分かりやすい二人やから、写真1枚でどこまで汲み取れてしまう。


………でも。




「…これは、ちゃう」




隣に置いていた雑誌を手に取りページを捲る。
ゆっくりと確認するように1ページずつ丁寧に捲っていく。

その動作を繰り返すほどに、俺は眉を顰めてしまった。

渋やん。
あんまり笑えてない。




…気のせいかもしれん。
俺と離れてるからとか、そんな期待を抱いてもうて勘違いしとるんかな。
俺とおるときの方が楽しそうやとか、そんな自意識過剰なこと言うつもりはないけど…
けど…


これはあまりにも。

いつもの渋やんらしくない。



「……………」



そう考える間もなく俺は携帯を手に、見慣れた番号を押して行く。
間違えるはずもない、渋やんの番号。
何度も押しては消していた番号。

かけたら迷惑やって、何度も自分に言い聞かせていた番号。

今日だけは特別や。
もう、押してしもたもんは消すことも出来ん。
先走る気持ちを抑えて、ただ携帯越しの声を待つ。
待つ時間は数秒でも、俺にとってはとても長いものに思えた。
そんな複雑なまま、俺は電話の相手に笑いかける。




「…渋、やん?」
「…………ん、久しぶり」


ほんまに。
ひさしぶりすぎて気まずい。

なんやっけ。
俺はなんで、電話したんやろう。
あんなに我慢してた番号を、なんでこんな簡単に押してもうたんやろう。


「どうした?ヤス」
「いや、あの!元気かな?って」


ありきたりすぎて嫌になる。
なんも浮かばん自分が情けなくて泣きたい。

でも。
電話越しに優しい声で笑われて、俺は心が落ち着いていくのが分かった。


「…ヤスは相変わらず元気そうやな。よかった」
「う、うん!俺はめっちゃ元気!いつも渋やんの雑誌とか、テレビとか観てるんやで?」


嬉しそうに話す自分が分かる。
俺ってほんまに渋やん好きやなあ、って、つくづく思う。
そんな俺に渋やんも「ありがとう」って笑ってくれて。

照れとるんかな?
口数が更に減ってもうた。

そんな沈黙を気にして、口を開いても、言葉は続かない。
言えたら苦労しない言葉が頭の中でぐるぐると木霊している。



………会いたい。




ただ。
会いたいって思っとるだけやのに。
電話やとこんなにも近いのに。
なんでこんな遠いんやろう。



10代の俺らには遠すぎて、縮めることの出来ない距離が2人を邪魔してる。

そんな沈黙。
俺が電話しといて黙るなんてダメなことやって分かってる。
渋やんを困らせてるだけや、って。
分かってんのに。
分かってんのに。



「……………ごめっ、渋や…」




涙が自然と頬を伝って、俺はバレないように声を絞り出す。
泣いてる、なんてバレたくない。
情けない、弱い俺なんて、俺じゃないのに…
止まらへん。



「………………」
「……あー、あの、風邪、ひいてもうたんよ…っず」
「……………うん」
「でも、めっ…ちゃ元気、やし。俺はっ…だいじょ、ぶやから」



なんやこれ。
泣いてるやん。
バレバレやん。
でも、どうしても隠したくて、俺は必死に言葉を紡ぐ。



「でも……渋や、んは元気そっ…で安心した!」
「………うん。そうやな。…元気や。お前と…全くおんなじ気持ちやからな」




優しい。そんな声。
流れるように零れた声が、やんわりと頭の奥を刺激する。

思わず固まってしもた。



それでも
渋やんの言葉はまだ続いてて、最後に「ありがとう」と言われた。



「…………電話くれて、嬉しかったで」
「………ん。よかった」
「急やったし、びっくりしたけど」
「ん。ごめんな….」



"ありがとう"

彼の精一杯の強がりに、俺は何も言えなくなった。
本当は寂しいとか、辛いとか、逃げ出したいとか…そりゃもういっぱいあるはずやのに。
なにひとつ弱音は吐かんつもりなんや。


俺相手になんか気遣わんでええのに、とか、そんな軽いもんじゃない。
そんな軽口で俺はこの人に何も言えん。
今のままじゃ俺は、

"会いたい"

なんて、尚更…


"がんばれ"

という言葉さえ伝えることが出来ない。
そのくらい情けなく感じてしまった。




この人は、この彼は、渋谷すばるは。

どうしてこんなにも。
儚くて繊細で、美しいのか。



まるで一つの芸術作品を見るような気持ちになってしまう。


ああ。
………敵わんな。







会いたい、のは
…………寂しいのは
…………………
………………………
…………………………俺の方や。






「渋やん、明日も仕事なんやろ?」
「……ん。そうやな、明日も撮影とか入っとる」

「そっか。めっちゃ頑張っとるんやな!…なんや遠い人みたいや」
「は?別に遠ないやろ?新幹線のったらすぐや」



笑い声が響いてる。
俺の鼓膜をここまで震わすのはいつも君の声だけ。
嬉しくて、幸せで、切なくて。
頭の奥の方が悲鳴をあげて泣いている。


この、電話を切れば…
次に会えるのはいつになるんやろう。

きっと、次は………




「じゃあ、渋やん」
「…おう。ヤスもがんばれよ」
「ありがとう!がんばるよ。がんばる。だからな、渋やん」
「……………」




「…そこで待ってて」




すぐに行くから。
君に似合う人間になって、会いに行くから。

だから次に会う時は。









………………
……………………
…………………………












「…お待たせ、渋谷やん!今日から宜しくな」

「……………っ遅いわ」





とある9月22日


俺たちはまた肩を並べてスタートする。
たくさんの仲間に囲まれて、渋やんに笑顔が途切れることはない。



「関ジャニ∞、か………まんまやな」
「あー、やっぱ関西はええなあ!たこ焼き食べよーや」


見開き全面に俺たちが載っている新聞を眺めて隣を見やる。
手を伸ばせば届く距離に渋やんがいて、いつだって笑顔を向けてくれる。

優しい声が暖かさを運ぶ。




「渋やん……」
「んー?」


"ありがとう"




………俺から送る君への



「あいことば」


驚く君は、俺の言葉に涙を流して幸せそうに………笑った。




end
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  1. 2013/10/27(日) 23:41:34|
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