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妄想∞すてーたす

∞の現実ネタを取り入れたBL二次小説を創作しております。主にやすば中心ですが、メンバー全員愛してます。

Xmasプレゼント∞やすば

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「は?嫌や」


「なんで?クリスマスプレゼント何が欲しい?って聞いてくれたやん」



「今時そんなプレゼント要求する奴おらんやろ!アホか」


「だってこんな時しか頼めへんやん。渋やんお願い!これ着て!」



と、手に掴んだモノは大きめのシャツ。
俺もアホなことお願いしてる自覚はある。でも、着てほしいもんは着てほしいし、それが男のロマンやろ?


「とんだ変態に成り下がったな」

「渋やんには言われたないよ。変態度合いでは確実に負けてるから」

「でも俺はお前にそんな変態になれとは一言も…………」

「なったんじゃなくて………いや、させたのは渋やんかもしれんけど。これは俺が渋やんに着てもらいたいだけ」



大きめのシャツって可愛いよな、って前に大倉と話していて。
小さい子が着ると格段に可愛さは上がるって話になり、思い浮かんだのは渋やんだけやった。
ただ、この話の流れは言えへんけど。
小さい子とか怒られるに決まってる。


あとは…
前に話してたクリスマス誰と過ごしたいか?という質問に…

俺は迷わず渋やんと答えたにも関わらず、
渋やんは少し考えてからマルと答えやがった。

その時のショックは今でも思い返せるくらいの衝撃で、それの仕返しでもある。




「俺がこれ着て誰が得するんや!?」

「少なくとも俺は得すると思うんやけど」

「お前が着たらええやん」

「……それこそ誰が得するん?渋やん喜んでくれんの?」

「……いや………わからん」



わからん。
そこは喜んでほしかった。
仮にも俺ら付き合ってるんやから、何着ても何しても喜びあうのが普通じゃないのか。
これは俺が求めすぎてるだけなんかな。
渋やんには厳しい要求やったかな。


少しだけ俯いて悲しくなる。

俺ばっか渋やん好きなんかな、って。





「………な、な…」




「へ?」




「なんなんお前!?そんな顔されたら……調子狂う」



え?俺、どんな顔してた?
渋やんが頭くしゃくしゃ掻きむしって手の隙間からこちらを覗き見る。
その顔は真っ赤で、どう見ても可愛い。



「渋やん……」



「………なんやねん!」




怒ってるんかな。
そっぽ向かれてもうて俺は慌ててしまう。




「ごめん。そんな怒らせるつもりは無かってん。ただ、不安やっただけで…」

「……………」

「ほんまは俺とクリスマスとか過ごすの、嫌かな?って。……ほら、前に質問されたやん!クリスマスは誰と?って………その時に俺じゃなかったから」



苦笑いして話す俺はさぞかし情けない姿やろう。
情けなくて、男らしくなくて、渋やんがっかりしたんちゃうかなって。
目を合わすことが出来ずに俯いてしまう。




「顔、あげて」


「………え」




早く。
そう強く言われてビクリと顔を上げると、そこには渋やんの顔があって
ソッと触れるだけのキスをされた。

驚く間も無く奪われた感じで、頭の中が混乱してる。


目を見開いて、目の前の渋やんを見つめたら、渋やんは案の定真っ赤になって俯いてた。




「俺は……ヤスと過ごしたいに決まってる。そんなもん、聞かんでも分かるやろ」



「いや、だって………」



「あれは!ああ言うしかなかったんや。ヤスとか言うたら本気やん………マルやったらネタで済むやろ。ただ、恥ずかしかった…だけ、で」





最後の方は聞き逃しそうなほど小さい声で、俺は思わず眉が下がったのが分かった。肩をなで下ろしてものすごく安心している。

手に持っていたシャツもその場に放って、俺は両手でしっかりと渋やんを抱きしめた。


渋やんも今だけは抵抗することもなく抱きしめ返してくれる。
そんな些細なことが嬉しくて、めっちゃ嬉しいクリスマスプレゼントやなって一人で幸せに浸ってしまう。




「渋やんはこのままでいいや」


「ええの?……その、シャツ」


「うん。今のままでも可愛いし、これ以上可愛なったら俺が我慢できひん」


「………アホ、か」




コツンとおでこをぶつけられ怒られる。
でも、その顔は恥ずかしいのか嬉しいのか分からない表情で、真っ赤なまま笑う渋やんに俺もつられて笑ってしまう。




「………1回だけやったら、ええけど」



「え?渋やん、もっかい言うて」




うるさいと両手で押してくるけど、そんな力が敵うはずもなく俺の腕の中で暴れる渋やん。
それがまた可愛くて可愛くて、もっと力強く抱き締める。



「渋やん、可愛い!…シャツも嬉しいし、もう大好き!」


「なっ、恥ずかしいことを……」


「そうと決まれば早よ帰ろ!渋やん今日は、泊まるやろ?」






俺が渋やんをゆっくり離して見つめると、渋やんは困ったように小さく頷いてくれた。

そのまま手を繋いで家路へと急ぐ。

そんな斜めうしろには恥ずかしそうに周りを見渡して歩く渋やんの姿。


何度か手を振りほどかれそうになったけど、その手を今は離したらあかんと思って俺はそのたびにギュッと握り返す。



これからもきっと、

こんな2人のまま、



特別じゃない、普通の限られた時間を




過ごしていけたらいいな。






それが俺の最大のクリスマスプレゼント。




ありきたりかもしれんけど


渋やんが居ってくれたら


それだけで最高に幸せや。





……………メリークリスマス。





世の中の人々にも、幸あれ!


end












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  1. 2014/12/24(水) 00:00:00|
  2. やすば
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夢 恋 ∞亮すば

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「ねえ、何考えてるの?」


甘い、誘惑するような女特有の声は俺の耳に入りそのまま通過していく。
浸透することはない。
いつもの慣れた仕草で相手の女性を遠ざけて、何事もなかったかのように振る舞う。

最低だと、幾度となく飛び交う罵声さえも今やどうでもいいと思えてしまう。


「冷たい、人」


冷めている、人じゃない、遊び人、、、
矛盾だらけの単語ばかりが俺を名乗る。


どうでもいい。



何もかも、あんな女も、その女も、

俺にとっては全て同じで
興味なんて一欠片もない。




……あの人以外は、みんな一緒だ。





………………………




「あれ?亮ちゃんまたフライデーされてるやん」


「………え、あー、ほんまや」


「気ぃつけなあかんでー。狙われやすいんやから」


「うん、ごめん」



大倉に怒られてしまった。
反省はしてるよ。
そりゃあまんまと撮られた俺が悪い訳やし。
でも、この相手の女が誰かってのは全く分からんかった。思い当たるフシがありすぎるんか、逆にこんな奴知らんか、やけど……

今回も覚えてないだけやろうな。




そのままフライデーをゴミ箱に捨てる。

けど、
よく考えたらそこのゴミ箱はすばるくんの席近くやなーって……
そこまで考えてゴミ箱から捨てたはずのフライデーを抜き取って他のゴミ箱にやぶって捨て直した。



別に。
すばるくんも知ってるとは思うけど、なんか、改めて見られたくないやん。

何も言うてはこーへんやろうけど。



俺は分からんように苦笑して隣の席に着いた。







「……はよ」

「あ、すばるくんおはよう!」



眠そうに欠伸しながら隣に腰掛けるすばるくん見て笑顔を浮かべる。
なに?って目で訴えかけられたけど、理由なんてないからソッと首だけ振って目の前のパソコンを見やる。



「元気そうやな」

「俺?めっちゃ元気。すばるくんは眠そうやけど」


パソコン触ったまま話す俺に見向きもしないすばるくん。
俺は、パソコン触ってても意識だけはすばるくんに向けてるんやけどな。


そんな想いも届かずで、本日二度目の苦笑が溢れる。






そんな時に響いた村上くんとマネージャーの声。
分かってたけど嫌な感じやなって黙ったまま立ち上がる。

きっと、怒られるんやろう。

フライデーとか、
その他諸々プライベートなことで。



ちょっと今回は遊びすぎたんかもな。




反省はしてるけど、
…………してるけど、さ。





仕方ないことやねん。

これだけは、許してほしいな。





スッと立ち上がった俺をすばるくんは一瞬だけ見上げて、そのまま視線が逸らされる。
そんな居た堪れないことされたから、思わず俺が声をあげてしもた。




「あー、また怒られるんやろなあ。嫌やなあ!」






わざとらしく、元気に振る舞って肩を竦める。

そんな俺にすばるくんは優しく微笑んで、分からん程度に見送ってくれた。




俺は、




それだけで幸せや。







そのあとはマネージャーからのお小言を村上くんと一緒に聞いて、俺はというと、真剣には聞いてるんやけどどっか上の空で更には空返事。
マネージャーは気付くこともなく淡々と話してるけど、隣の村上くんは呆れた顔してこちらを見てくる。



そんなマネージャーからも解放されて、伸びをしていた俺の後を村上くんはついてくる。
まあ、こんな俺の態度に黙ってるような人とちゃうよな。




「お前、…気をつけろよ」

「うん。分かってるよ。反省はしてる」

「反省、ね。それは何に対してや?」

「そりゃあ、メンバーに迷惑かけたなって。それ以外は特に…」



質問の内容に少しだけイラっとして振り返る。なに?何か言いたいことでもある?目だけでそう訴えると村上くんとばっちり目があった。


「………それだけか?関ジャニ∞として反省してるだけか?」


「疑ってるん?俺にとって大事なんはみんなと一緒、メンバーだけやで」




俺の言葉に村上くんは肩を竦めて心配そうに微笑んだ。


「俺にとって、亮も大事なメンバーのひとりや。だから、亮が悩んでたら聞いてやりたいし、助けてやりたいとも思ってる」


「…………うん、俺も一緒や」


「だからな。ひとりで考え過ぎるなよ。我慢して、抑え込むのは亮らしくない」




何を……
村上くんの言葉に腹がたつ。
嬉しい言葉やのに、今の俺にはキツい言葉で。優しいはずやのに、凄く冷たく感じる。

やったら、俺はどうすればいいの。




知らん女と快楽に溺れるその瞬間だけは、いつも気持ちが楽になった。
アイドルとしての柵から解放されたように思うこともあった。

でも、誰かを抱くたびに思い浮かぶ姿もあった。
その人といるような錯覚に陥り、その瞬間だけは幸せになれた。


でも、
目が覚めるといつも後悔した。


知らん女が俺に甘えてくる姿にどうしようもなく絶望した。



「亮。……お前が大事にしたい人を大事にすればいいと俺は思ってる」

「……………村上くんって、ほんま何でもお見通しなんやね」

「俺は、みんなが大事やから。いらんことまで気付いてまうんよ」



ほんまにな。
そう言って2人で笑って楽屋へと戻る。
戻ったら、みんなが笑って迎えてくれた。


「亮だいじょーぶやった?」

「……うん、別にいつも通り」



声をかけてくれるヤスに笑顔で返すと、その奥で座ってた横山くんも面白そうに微笑んでくれた。



「そんなお咎めなくて良かったやん。なあ、すばる」



横山くんの言葉に俺はドキッとした。
なんでそこでわざわざ話を振るんや。
たぶん
気付いてる横山くんの嫌がらせにしか思えへんけど。

話振られたすばるくんも思っきし困ってるやん。
何してくれてんの?


「…………ん。良かった、な」


「あ、ありがとう」







なんか、妙に気まずくて、そのまま目は合わさず席に着こうとする。
ニヤニヤ笑う横山くんがほんまに鬱陶しくてすかさず睨んでやるけど、村上くんにまあまあって宥められた。



「ヨコも、あんまり亮をいじめんなよ」

「はいはい。でも、いじめてるつもりは無かってんで。面白いなあと思って」


村上くんの言葉に横山くんは悪気のない様子で肩を竦めてる。
そんな姿に大倉も苦笑してた。
メンバーをゆっくり見渡して俺も溜息が出てしまう。
悪いのは俺やし、今は誰にも怒れんし言い返せんなあ、って。



「……亮、あんま気にせんでええからな」

「…ん。俺は平気。その、ありがとう」



すばるくんが気にして声かけてくれて、俺は嬉しいはずやのに、歯切れの悪い返事してしまった。
………気に、はしてないけど
気にしてほしかったな、とか。

贅沢やって分かってるし
ありえへんって思ってても
どっかで期待してしまうんや。


「なんか俺、こんなんばっかやな」

「………急に、どうしたん?」

「いや、ごめん。俺おかしいんかもしれん。好きやない人に手出すとか……考えられへんよな」



何を言ってるんやろう。
あいにくこんな会話はすばるくんにしか聞こえてへんのやけど、何を思って今すばるくんに話してるんか、俺が一番分からへん。


「………しゃーないことなんやろ。男やし、興味ない訳じゃないやろうし。こういう仕事してたら、本命って難しいと思うし…」


「ほんまに。…本命が傍に居ってくれたら、こんなことせんやろなあ」



苦笑交じりに呟いて、淡々と話すすばるくんを見つめる。



「いるんやったら、その人大事にせなあかんやろ」


「……うん。そうやね」


「亮やったら、幸せにできるよ」



笑顔を向けられて、心臓が潰れるかと思うほど痛くなった。
すばるくんが話すたびに、俺の心がザワザワする。
優しい言葉であればあるほど、痛くて穴が開くかと思ってしまう。



「うん。幸せにするよ、俺なら」

「……はは、すごい自信」

「めっちゃ甘やかすし、アイドルって仕事を不安に思うなら愛してるって毎日言う。ずっと傍にいて、一生離さへん……」


「………それは、重すぎとちゃう?」



俺の言葉に笑うすばるくんが愛しくて、俺の笑顔が引きつってしまう。
こんなにも想ってるのに、な。
伝えられない気持ちほど辛いものはない。


ソッとバレないようにすばるくんの頬へと手を伸ばす。

ビクッと肩を強張らせたすばるくんに俺は優しく笑ってやる。


「…ゴミ、ついてる」

「ああ、ごめん。ありがとう」



なあ、すばるくん。
もしさ。
もし俺が好きやって言うたらどうする?

冗談やろって笑うかな。
それとも、真剣に考えてくれるんかな。

どちらにせよ、報われることは望んだらあかんよな。




人のせいにするつもりは無いけど

俺がこんな生き方するようになったんは全部すばるくんが原因で、
きっと
俺にとっての初恋ってすばるくんやねんなあ。




こんなこと、
どんな顔して言えばええんやろ。




情けないなあ。







「……亮?あんま、ひとりで抱え込むなよ」


「うん。すばるくんは優しいなあ」


「…………優しないよ。ただ、今の亮は見てられん。泣きそうな顔しとる」





……そっか。
俺ってそんな顔ですばるくんの事見とるんや。
なんでかな。
愛しいって気持ちを伝えたいだけやのに、何を俺は我慢しとるんやろ。
普通に笑って、好きやでって言えたらいいのに。

でも、
きっと俺の気持ちはそんな軽いもんじゃなくて、自分でも抱えきれんほど重いもんやから。
すばるくんに担がせるわけにはいかへんから。




なんとか、なんとか、
治ってくれへんかな。




そうこうやり取りしているうちに他のメンバーはゾロゾロと楽屋を後にしていく。

村上くんが俺とすばるくんに一声掛けてそのまま扉を閉めて行った。





「…………俺らも行かなあかんな」


「………………」


「……亮?」




立ち上がったすばるくんの手を握り、そのまま床を見つめたまま眉を寄せる。




「すばるくん………俺な、心臓が痛いねん」


「……え?心臓って……大丈夫か?」


「…ずっとずっと痛くて、日毎に増してきてる」




すばるくんと手を繋いだまま、反対の手で心臓を掴む。
その仕草をすばるくんはずっと見つめてくれた。



「なんで、やと思う?すばるくんは原因、わかる?」




ゆっくりと見上げて、真剣に話す。
いつもみたいに誤魔化されんように、自分も誤魔化せんように、目だけをひたすら見つめる。


こんなことしても困らせるだけやのに。


欲しい言葉なんて自分でも理解してないのに。



それでも、

どっかで期待してる俺がいることは確かで。



「………なんて、………ごめん、すばるくん気にせんといて」




でも、
怖がりで臆病な俺もいて。





スッと手を離してすばるくんの横を通り抜けた。
いつも以上に気まずい楽屋を後にしようと扉に手を掛けて、服の裾が掴まれる感覚に気づく。



「……どしたん?すばるくん」

「…………………い」



振り返ることなく、すばるくんの小さな声を聞き逃すまいと耳を澄ます。



「………痛いよ。俺だって」



「…!?…………」



「亮だけじゃない。…たぶん、同じ」




すばるくんの簡潔な言葉に、俺は小さく微笑んでしまった。

なんやねん。

たぶん、同じ。

そんなこと確認せな分からんはずやろ。





「……なあ、すばるくん」



「………っなに?」



「振り返ってもいい?」



「……別に、いいけど」



「…抱き締めても、いい?」




ゆっくりと振り返って、目の前にいるすばるくんに両手を伸ばす。
返事は聞こえんかったけど、抵抗しないってことは肯定ってことで
俺は構わず小さな身体を抱き締めた。


ずっと夢見てたその感覚に

目眩が起こりそうになるほどの幸せがやってくる。



「…もう、痛くない」

「ん………よかった」




全力で抱き締める俺に、すばるくんは困ったようにはにかむと

ソッと包み込むように抱き締め返してくれた。



「あ~~、夢みたいや」


「大袈裟な…」


「ぜったい離したくない」


「重いのは勘弁してや」



すばるくんの嫌がることはせぇへんよ。


ずっと好きやったんやから。


嫌われるようなことはしたくない。


これからも


一生愛し続けたい。




…俺の、大事な初恋の人。




end
  1. 2014/12/17(水) 00:13:58|
  2. 亮すば
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愛情の道づれ∞やすば

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ほんまに、はじめは些細な言い合いからはじまった。

思い返せばお互いが意地張って子供すぎただけやと思う。
好きって気持ちが大きくなればなるほどその想いは強くなりすぎて、ダメな方向へ視点を向けてしまう。

分かってたのに。
今更めっちゃ後悔してる。




それは今から30分前の出来事。

楽屋でまったりと過ごしてた幸せなひととき。
まだ楽屋には早いからか俺とヤスしかおらんくて。
まったりとした空気にヤスが言葉を乗せる。
それをサラリと受け取り、サラリと返す。
これだけやったら良かったのに、俺とヤスは触れたらあかん話題にまで手を出してしまった。






「なんや、ヤス楽しそうやな」

「え?何がやな。渋やんかって十祭…楽しいやろ?」


首を傾げて笑うヤスに俺は目を逸らして頷く。ただ頷いて言葉は濁す。


「やったら一緒やん。気まずいとか言うて、渋やんは亮と仲良さそうやし」

「は?…そりゃ仲はええよ。亮は大事な後輩でもあるから」

「へえ。亮もさぞかし喜んでるやろうな」



なんやねん、その言い方。
棘のある言い方や態度に俺はムッとする。俺はええけど、亮にまで失礼やろ。


「ヤスも大事なんやろ?…大倉が」

「…まあ。嫌いな相手にあんなこと出来んからな。渋やんが亮を思う気持ちと一緒ってことやろ」


はいはい。
伺いながら話すヤスに、俺はどうでも良さそうな雰囲気で返す。
どうでもええ。聞きたくない。
ヤスと大倉が仲良いのなんて前から分かってることやし、改めてどんだけ大事かとか聞かされても気分悪いだけや。






それから沈黙。
悪気なく話したはずの言葉がきっかけでこんなことになってしまった。
謝るきっかけもなく、謝る理由さえ見当たらん。
このままやと本番にまで影響が出そうで俺は嫌やけど、どうしようもない気持ちはぐるぐる渦巻く。




チラリと盗み見たヤスと目が合う。

カチリと合って俺は盛大に逸らしてしまった。そこまでするかって位、嫌なんかって位避けてしまう。



そこに何も知らず入ってきた他のメンバー。
空気が重いことにも異様な雰囲気にも気づかないで亮は俺の隣に腰を下ろす。



ええんやけど。
いつものことやし。
でも、今はあかんのとちゃうかな。



わかっててもヤスの方は向けんし、亮にどけとも言えん。

むしゃくしゃして自分が席から立ち上がると全員の視線を感じる。
不自然すぎるとは分かってたけど、「……、トイレ」と苦笑いして部屋を後にする。



なんやねん。みたいなヨコの顔が見えて睨みたくなったけど諦めて用のないトイレへ。




……最悪や。




逃げたらあかんって思えば思うほど逃げたくなる。でも、これじゃあ練習してきた本番も台無しにしてしまうから
俺は意を決してトイレから出る。
トイレから出たらあとは楽屋への道のりを歩くだけやのに、目の前に立ってる人物を捉えてもっかい後ずさった。




「……………っ」


「待っ……渋やん!」




追いかけられて腕を掴まれる。
足速っ。
結構な距離やったのに呆気なく捕まる俺が遅いのかヤスがやたら速いのか。
そこは気にせんでええとこやけど、今はそこさえも気になる。




「渋やん、…」

「………………」




必死なヤスに俺の心がきゅっと潰されそうになる。
いやや、こわい。
ヤスの顔が見れん。
顔を上げずに足だけを止めた。




「渋やん、………俺のこと、イヤ?」

「……………」

「俺は好きやで。だから亮と仲良くしとる渋やん見たら苦しくてしゃーない」



両手掴んで必死に話すヤスを俺は見ることができない。
掴まれた手だけ見つめてたら、その手が微かに震えてることだけ分かる。
でも、それさえも怖くて、どうしたらええか分からんくて、俺は言葉を繋げられへんかった。

そんな俺を知ってか知らずか、ヤスはそのまま口を開く。




「渋やんのこと好きすぎて、仕方ないって分かってんのにイライラした。亮と2人で残ってまで練習して、何も知らん渋やんは亮に笑顔振りまいて………渋やんは俺のやのにって…………そんなこと考えてる自分が情けなかった」



「……………………っ」



「……だから余計に大倉と仲良くするようになった」




ヤスの言葉に少しだけ反応する。
俺のこと好きやから、嫉妬して、情けなくて、気を紛らわせる為に大倉と仲良くしたってことか。

なんやねん、それ。

余計にややこしくなってるやん。





「辛いからって、他の奴のとこ行かんでもええやろ」





呟いた声が思いの外強くて、自分でも驚いてしまった。

何かにイライラしてる俺がいる。

何かは分からんけど、そのイライラがヤスの手を振りほどいた。



「渋、やん。ごめ……」


「なんやねん。俺が亮と仲良くしてんのが嫌で、お前は他の奴と仲良くするんか?自分がされて嫌やと思ったことを人にすんなよ。……何の解決にもならんやろ」



俺がどんな想いやったかなんて、お前には分からんやろ。
これは仕事や、だから今はヤスと距離を置いて仕事せなあかん。
今は亮と、楽しくせなあかん。
大倉と笑いあうヤスを見ても気にしたらあかん。
仕事が終われば、またいつものように笑いあえるから。
だから、今だけの辛抱や。


私情は挟んだらあかん。



そう思ってたんは俺だけやったんか?






振り払った手をぎゅっと握りしめたヤスは俺に頭を下げる。
ごめんなさい、と怖がるように震えてる。
怒ったつもりはないのに、何がそんなに怖いんか。



「ごめ、渋やん。嫌いにならんで」



呟かれた言葉に俺は固まる。

嫌いに………
俺がヤスを?


ああ。
きっとヤスはそれが一番怖いんか。
俺に嫌われたかもしれんと震えてしまっている。
そんな様子に俺はどう声をかけていいか分からんくなった。


「……………」


わからんまま突っ立ってる。
なんて言うてやればええの。
しゃーないなって笑ってやればホッとするんか?
嫌いなるわけないって伝えれば喜ぶんか?

どれが正解で、どれが俺の本音なん?


もう、
ヤスのせいで心がめちゃくちゃや。
こんなことで振り回されて、頭がパンクしそうで、わしゃわしゃと頭を掻き乱す。

落ち着いてるのに、イライラする。

……俺は、何に対して怒ってるんやろう。






「渋やん………ごめん」






まだ呟くヤスがムカつく。

ムカつくのに、突き放すことができん。





「…なんやねん……っ」



「…渋やん?」





突き飛ばしたいのに。
近づいてくるヤスが、その手が、その顔が、全てが、俺の苛立ちを和らげていく。
優しく頬を包まれて、俺は泣きそうになった。




「さわんな…」

「いやや。渋やん、悲しそうやから、こうしてたい」

「俺やなくてもええやん。他にもおるやろ。俺に…構うな」

「…俺には渋やんしかおらんよ。渋やんしかダメなんよ。…渋やんがいい」



包んでくれる手が温かくて、心まですっぽり抱きしめられてるみたいや。



なんの抵抗もしないまま、ヤスの思いの外大きい掌に顔を埋める。
そんな俺をヤスは自分の胸に押しつけるように抱き締めてくれた。



「ごめんな、渋やん」


「…………」


「俺が勝手にヤキモチ妬いて、勝手に傷つけた。ほんまにごめん」




ぎゅうっと抱きしめる腕に力が籠って俺は身動きが取れなくなる。
でも、そんな強ささえ安心に変わってホッとする。あったかくて、ずっと欲しかった温もり。
今までの不安が嘘かのように吹き飛んでいくみたいに。心地よくて、気持ちがいい。




「俺は渋やんが好きやから、それだけは誤解せんとってほしい。何よりも誰よりも一番好きやから」

「……うん」

「渋やんが俺のこと呆れたりしても、きっと俺はずっと好きやから」



そう言って笑うヤスがほんまに真っ直ぐで優しくて、なんで、そんな顔できるんやろうって俺の心が締め付けられた。

ヤスはきっと、ほんまに俺が大事なんや。
好きで、どうしようもなくて、嫉妬して、八つ当たりしてきたんや。
紛らわしたくて、他の奴のとこ行って、気にしてないふりしたけど無理やった。

俺よりも、アホなやつや。




「…嫌いには、ならんよ」


「ほんまに!?」


「……先のことなんか分からんけど、嫌いにはなれん。要素がない」



俺の言葉に嬉しそうに笑うヤスが愛しくて、俺も微笑んでしまった。


「渋やん好き!」


「……はいはい」



分かったから。
痛いほど分かってるから。
ぎゅうっと締め付けてくる腕をやんわりと解く。
振り払わんだけマシやと思ってくれ。


解かれた腕を名残惜しそうに見つめたヤスは俺の後ろからついてくるように楽屋へとついてくる。

俺は元々座っていた亮の隣へと腰を下ろし、ヤスは何故かその逆側の隣へと腰を下ろす。


俺は亮とヤスに挟まれるような形で座ることになる。





なにこれ、こんな楽屋広いのに、おっさん3人並んだらさすがにキツいやろ。

ニヤニヤ笑うヨコが目に入り思わず睨む。
助けろよ、そんな想いも届くはずなく楽しそうなヨコにタオルを投げる。
上手いことヨコの頭に当たったことで少しだけ気分は良くなった。



けど、


さすがに気まずくて、



俺はそのまま寝たふりで過ごすことにした。




end











  1. 2014/12/03(水) 00:10:50|
  2. やすば
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