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妄想∞すてーたす

∞の現実ネタを取り入れたBL二次小説を創作しております。主にやすば中心ですが、メンバー全員愛してます。

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【Merry Christmas】∞やすば

.





賑やかな街並み。
キラキラと輝くイルミネーション。
楽しそうに笑い合うカップル。
とめどなく流れる音楽。



どこもかしこもこの風景。
移動中の車の中からソッと見ては息をついてしまう。



寒いはずやのに、見える景色は暖かそうで、俺は口元に思わず手を翳してしまう。
そんな俺の様子にマネージャーが「温度、あげようか?」なんて気を利かせてくるものだから、首をふるふると振って否定した。




この街並み見ても、どこ見ても分かるように今日はクリスマス。
今日じゃなくても12月入ったくらいから見える景色は今と変わらんのやけど。
一応、本命は今日やから改めてクリスマスを感じてしまった。


別に。
クリスマスやのになんで仕事やねん。とかアイドルの俺が思うことはない。
仕事あってなんぼのアイドルやし、むしろ有難い事やとも思っとる。

でもやっぱ気になるのは気になるし。
全く興味がないってゆうのも嘘や。




それに、相手が居らんかったら気にせんかったやろうけど……
なんでか俺にはちゃんと相手が居るから余計に気になるんかもしれん。




「………プレゼント」




どうしよ。
仕事ばっかしとったらしゃーないのはしゃーないんやけど、俺はそういうとこきちっとしときたい性格で、買えてないことが少しだけの蟠りとしてある。


誕生日はちゃんとしてやれた。
仕事の合間に選んで買ってやることが出来た。
喜んでるアイツを思い出して少しだけ微笑ましく思う。

そんな俺に気付いたのか隣に座っとったヒナが笑ってきた。




「ひとりで何笑てんの?不気味やで」

「そんなもん、俺かて笑う時くらいあるやろ。むしろこれが俺の顔や」



いつも通り返すと、またヒナは口開けて笑う。
相変わらず元気に笑うものだから、俺も釣られて笑ってもうた。


すると前の席にいたヨコがチラリとこちらに目を向けて
「さっきからうるさいなー」ってまたもや笑ってくる。

何がおかしいねん。とヒナが真面目な顔して返すものだから、ヨコがすかさず「なんやねん、俺に冷たいやろ!?」って負けじと返し、車内は笑いに囲まれて楽しい空間へと変わった。





「で?プレゼント?」

「は!?なんで?」


改まって落ち着いた時にヒナが俺に投げかけてきた言葉に俺は思わず慌ててしまった。
なんで分かったん?こいつ、エスパー?


「てゆか、自分呟いてたで?普通に……プレゼント、って」

「え?」

「気付いとらんと思ってたけど…アホやなあ」


また笑われて、俺は何も返せない。
そんな独り言いうてしまうくらい悩んどったんか。



「プレゼントなあ。あれやろ?ヤス相手やろ?」

「……………ん」


あえて小声で話してくれるのは一応ヒナなりに気遣ってんのかな、って思えてなんや可笑しかった。
けどきっと真剣に悩んでくれとるから、俺はしっかりと耳も傾ける。


「てゆか、ヤスやしいらんやろ」


あくまで真剣に悩んでくれとるってゆう前提で話してたのに、今の一言で俺も呆れてしもた。
ヒナはヒナやわ。


「いらん、ってあかんやろ」

「いやー、あいつやで?プレゼント何が欲しい、とか考えても……たぶん答えは一つやで」

「なに?いらんとか無しやで」

「いらん、っていうのもそうなんやけど………」

「……………」

「渋やんと居れたらそれだけで幸せや。とか言いそうやなあ、って」




ヒナにそう言われて、すぐ様ヤスの声で変換できてもうたんが怖いわ。
なんでこう、ヤスってある意味分かりやすいんやろう。
分かりやすいんやけど、そうなると逆に欲しいもんなんて浮かばんやろ?
それが難しいねん。

ヤスに聞いたとこでいらんとか、言われるし。
かと言って何を?ってなるやん。



後ろに頭倒してため息ついてもうた。
ほんまに、どうしよかなあ。




そんな俺にヒナとヨコは困ったように苦笑する。
きっと、俺の性格とか全部分かっとる上で、ソッとしとこうって思ったんやろう。
2人は大人やからそういうとこはほんまに楽や。
まあ、それに気付く俺も、やっぱ大人なんかもしれんけど。












「おはようございます」


楽屋へとついたら既に騒がしくて、丸がなんやまたけったいな事しとる姿が目に入る。
その隣では大口開けて笑う大倉と、ツッコミながら笑うヤス。
パソコンでなんや調べとる亮がおって、俺は静かにその隣へと腰を下ろした。



「あ、すばるくんおはよう」
「おはよ。朝からもうあんな感じなん?」

「せやで。俺が来た時には既にこんな感じ。あいつらホンマ元気すぎるやろ」


そう言って笑う亮から少し視線をズラす。そうすると丸の隙間からチラリと覗いた目と合ってもうた。


「渋やん、おはよう!」
「…はよ。元気そうやね」

「元気やでー?渋やん元気とちゃうん?」

そうして近づいて来るヤスに俺は首を振る。

「眠いだけや」


俺の言葉にヤスは笑って、朝早いしなあ、って呟いた。

それから数分は各々でやりたい事やって、いざ仕事。
今日は夜までメンバーと過ごすことになるやろう。
丸はそんな1日が嬉しいってギャグばっか連発しとる。それに乗っかってたまに俺も楽しむけど。
心の何処かでは今朝のプレゼントが浮かんでは消えていった。








「おつかれさま!」

みんな終わってホッと一息。
ゆっくりと雪崩れるように椅子へと腰掛けるメンバーを見て、俺は微笑ましく思った。
こんだけ仕事がある。
数年前までは叶わんかった夢が今は現実なんや。
何が変わった訳でもないのに、周りがどんどん変わっていく。
不思議や。


全員を見つめて微笑んでると、珍しく大倉と目が合い、2人して思わず笑ってしまった。


「あー、疲れたなあ!」
「ほんっまに!クタクタやあー」


そう叫んでまた笑う。
周りのみんなも俺らの適当なふざけ合いに笑ってて、俺は最高のプレゼントやなって思ってもうた。


幸せや、って思うと同時に浮かんだ気持ちに俺は納得してしまう。


そっか。




「………………」





ヤスの言うであろう「渋やんと居れるだけで幸せや」ってゆう気持ちが分かったかもしれん。
これほど特別で嬉しいプレゼントはないやろなあ。



考えて、ふとヤスを見るとまた目が合う。
幸せそうにフワリと笑う笑顔が俺の脳裏にしっかりと焼きつく。

みんながワイワイと賑やかに笑う最中で俺は戸惑うことなくヤスに近付く。


普通のトーンで普通に話し出す2人のことを、この楽しい空間ではきっと誰も気付かない。





「ヤス。……その、プレゼントやねんけど」

「ええよ、そんなん。俺は………」

「ちゃうねん。プレゼントは、用意できてない」

「だからええんやって。プレゼントは、渋やんが居てくれたらええから」



まんま言われて、俺は笑ってもうた。
驚いたのかヤスは目を丸くして見てくる。そんな変なこと言うたかなあ?とか首を傾げるもんやから、また面白くて俺は机の下でギュッとヤスの手を握った。






「ヤス。今日はずっと一緒に過ごそう」





ギュッと握り返してきたヤスの手は少しだけ震えていた。
嬉しいとか、幸せとか、そんなもん全部ひっくるめた感情はなんと呼べばいいんやろう。

ヤスの心はきっと今その状態で、溢れんばかりのものが零れ落ちそうになってる。


そう思うから、俺は代わりにこの言葉を贈ろうと思う。





「愛してる」





くさい台詞だって、ヤスにならいくらでも言える。
そう思わしてくれて、感謝までしてる。




周りのメンバーの笑い声と、ヤスの微笑む優しい顔。
俺はこの全てがあれば最強の幸せ者や。




誰のどんなプレゼントよりも最高の贈り物を、君に………



Merry Christmas



今宵も良いクリスマスを。




end
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  1. 2013/12/24(火) 00:00:00|
  2. やすば
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『ONE』Ⅲ∞亮すば←ヤス

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聞いてもうた。
盗み聞き言うたらなんか俺が悪い奴みたいに聞こえるし言わんけど、あれはそう思われても仕方ないかもしれん。


渋やんと亮の会話。



意味深な沈黙と、少ない言葉数の意味を俺は理解してしまっている。






どっちの気持ちも知ってる。

亮の渋やんへの憧れとも言えぬ気持ちの強さも、渋やんの亮への気持ちの戸惑いも。

どっちも見てたらすぐ分かる。




分からんのはきっと、お互いが自分の気持ちにさえ納得いってないからであって、逆に認めてしまったら思いのほか簡単な事やと思う。





「……………あー」





でも。
こればかりは両者のどちらにも本当のことを言ってあげれない。
俺はそこまでの優しさをきっと持ち合わせていない。

理解して、その上で教えるなんてもってのほか。
むしろ、このまま気付かずに時が過ぎるのを待てばいいんじゃないか?まで考えるほど、俺は冷めていた。







「……よいしょ、と」

「章ちゃん、か」



何も言うてないのに苦笑する亮を見て、俺は静かに微笑んだ。




「俺で悪かったなあ」

「別に…、悪いとか言うてないやん」

「言うてないけど、……目が言うてた」




俺の言葉に亮は鼻で笑うように俯いた。


頭を抱えるまではいかないけれど、ほとんどその状態の亮を見ていると少しだけ切ない気持ちになる。

隣にいるだけでこんなにも分かるのだから、渋やんは痛いほど感じたんやろう。





楽屋に戻って来た時の渋やんの顔は、今にも泣きそうやった。

横ちょの言葉に返事するのが精一杯で、心ここに在らずな感じ。
心配そうに伺う横ちょを、俺は至って普通に見つめてしまってた。

理由を知ってるからこそ表情に出すこともできない。


横ちょの肩越しに見えた渋やんの目が俺を少しの間捉えて離さなかったその瞬間は、俺の中で時が止まったかのような瞬間やった。

たった一瞬の出来事でも俺にとっては重みのある時間で、思わずなんとも言えない顔で微笑んでしまったのを今でも思い出せる。

そんな俺を見て、渋やんの表情が曇ったのも見逃さなかったけれど。







「で、章ちゃんは何しに来たん?」

「なんや思う?」

「……ひやかし?」



呆れたように笑う亮はゆっくりと天井見上げてから俺を見る。
その目は笑ってるようで笑ってなくて、なんや、見られてるというより睨まれてる気分やった。



「……………そう見えた?」

「わからん。でも、聞いとったんやろ?俺とすばるくんのやりとり」

「ん。聞いてもた」



はっきりと言葉にする。
そんな潔い俺を亮は怒りもせずに目を細めて笑ってくれた。




「えー。嫌やなあ。めっちゃ恥ずかしいやん」





ほんまに思っとるんやろか?
真っ直ぐ前を見つめたままどこか遠い目をしてる亮は、いつだって先を見る人間なんやろう。
目の前の物事だけを捉えず、幅広い範囲を見つめている。

だからこそ、亮は分かりづらい。

渋やんと似てるとはいえ決定的に違うとこはそこやと思う。
自分の本音の部分を悟られんように隠すのが上手い。

かと思ったら喜怒哀楽はちゃんと表に出せる一面も持ち合わせてる。
でもきっと、肝心な部分は隠してしまうんや。


そのへんは………ほんまに……





「渋やんと似てる」

「…………何が?」



俺から漏れた名前に驚いたのか、少し目を開いて俺を見やる。



「似てるなあ、って」

「……似てへんよ」

「それは本人やし分からんやろ」

「本人やし分かることもある」




頑固やなあ。って戯けて笑う。
笑う俺から面白くなさそうに目を逸らす亮に、俺は真面目なトーンで語りかけた。




「もっと、素直になってもええんやで」




その言葉に亮はそのままの態勢で続きを聞いている。



「俺らのこと、いろいろ考えてるんやったらそれは優しさとは言えんからな」

「………………」



二人の沈黙の意味が、もし周りのこと想い過ぎての行動なら。
それはとても優しくて残酷な決断やったんじゃないかな、って。


みんな同じメンバーであり、同じ人間同士。
個性それぞれ豊かでそれはとても素晴らしいことやと思う。
でもその中に気遣いという気持ちはいらないのではないか。

空気を読めとはよく言うけど、気遣いとそれとはまた違う。



「亮のほんまの気持ちが聞きたい」



こんなこと言うてうざがられるかなあ。
そう思って苦笑しつつも、こう言わな亮は言ってくれそうにないから。
面と向かって、真っ正面から真っ直ぐに伝えないと、きっと亮は分からんフリする。
それが上手いから、時々心配になる。



「亮」



優しく呼ぶと言ってくれるかな。なんて…
そんなことで亮が動くとは思ってないけど、亮は優しいから少しだけなら話してくれる気がした。



「………………なんやねん」




呟かれた言葉に俺は目を逸らさずただ静かにその続きを待つ。
促すこともせずただひたすら待ちたいと思った。


そんな俺に亮は苦笑して、チラリと俺を見つめ返す。
その目はどこか寂しげで俺は小さく微笑むことしか出来んかった。







「……なんで、章ちゃんは…」

「俺が、なに?」

「いつもそう、……」

「何が?俺は何もしとらんよ。亮の気持ちが大事なだけ」



困ったように首を振る亮に、俺は真っ直ぐ話す。
あかんよ。
それは優しさじゃない。
気遣いでもない。
それは、俺に対してとても失礼なことや。






「…だって!…章ちゃんは、すばるくんのこと…」

「……それがどうしたん?」



さらりと返した俺の目を亮はグッと見つめてきた。
なんとも言えないその表情は、俺の心を強く締め付ける。



「それが、って…おかしいやろ」

「なんで?今は亮の気持ち聞いただけや。俺の気持ちは何も関係ない」



そうやろ。
俺がどう思ってようが、亮の渋やんへの気持ちは変わらんのやろ?
やったらそれが本音やん。
それをそのまま口にしてほしかった。
出来れば、
そのまま渋やんに伝えてほしかった。

そうすれば、
渋やんのあんな顔、見ずに済んだかもしれん。






「章ちゃん………優しすぎるわ」


「アホ…。それは亮の方やろ」



2人して笑って笑い飛ばして、心は切なく締め付けられる。
どちらが正しくて、どちらが間違ってるかなんてきっと誰にも分からない。
どの選択肢だって正しくて、それこそタイミングなんかなって改めて思った。



ああ。
これで、盗み聞きしてしもたおあいこやで。

痛む心を諭しながら

心で呟いて
俺は気づかれないよう眉を顰めた。





end
  1. 2013/12/20(金) 22:55:03|
  2. 亮すば
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空気∞やすば

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「……くちびる?」

「んー。今年のテーマとして使ってるロゴがくちびるやろ?やからなー、Tシャツもくちびる!」



ジャンと嬉しそうに下書きを見せてくれるヤスはどこか自信満々で、俺は思わず頷くことしか出来なかった。

そんな俺の反応のない様子に不服なのか、面白くなさそうに自分の描いたくちびるとやらを見直している。

その姿は真剣なようで、おかしいなあ、って首を傾げつつ目は真っ直ぐだ。




「ええやん!そのくちびる!」

「横ちょ!ほんま?ええ感じ?」


隣から顔を出してきたヨコはその絵を見つめてすぐさま声をあげる。
嬉しそうなヤス。
ヨコと楽しげに笑う姿を見て、俺は眉を顰めてしまった。



「めっちゃええよ!かわいいし、カッコいい!」

「それやったら安心やわー!ファンの子も選べる方がええもんなあ」

「さすが、ヤスやなあ」


褒めて、褒められて。
2人の空気は和気あいあいって感じか、その空気に耐えられずその場からゆっくりと離れる。
離れて座って、用もないのに携帯をいじる。
つまらん。

別に。
くちびるの絵があんまりやったとか、そんな訳やない。
ただ、あまりにも嬉しそうに見せてくるもんやから、何て返したらええか分からんかったんや。
そこですぐ褒めてたら俺もあんな空気は作れたんやろうけど、今更思ったってしゃーない。


あかん奴やなあ、俺。





「渋谷さん、元気ないじゃないですかー」

「……なんやねん」

「なんか悩んではるんですかー?」



変なやつに絡まれてもうた。
巻き込み事故に合うかもしれん。
でも、今はちょっと救われた気もしたから許したる。



「人間、悩みのひとつやふたつくらいあるわ」

「ふーん。まあ、悩みくらいあるわなあ」

「マルもあんの?なさそうやけど」

「あるある!毎日が悩みの種や」


笑い飛ばして言うマルに説得力なんてものは感じられんけど、マルがすぐ悩んだりしてまう性格ってのも理解してる。
メンバーとして何年も一緒におったら嫌でもわかってまうわ。

だからたぶん、マルも分かってるんやろう。

どうして悩むか。
考えるんか。
何について。
何が原因で。



「人間ってほんまめんどくさい」

「考えな生きてけへん生き物やしなあ」

「………ほんまに」

「でも、人間で良かった!こんな感情は人間しか持てへん。それって恵まれてるやろ」




嬉しそうに笑われて、俺も小さく頷いた。
思わず微笑んでまうんは、マルの空気からやろう。



そこで何かに気づいたのかマルが面白そうに口に孤を描く。



「考えてるんはあっちも同じみたいやで?」

「は?」

楽しげなマルはヒラヒラと俺に手を振って去って行く。
その背を見つめて俺は首を傾げた後、マルのその言葉の意味に気づいてもうた。

はっきりと鏡にうつったその瞳はこちらを気にしており、なんやちょっと遠慮しとるみたいや。



ヤスが、俺のこと気にしとる。






確かに黙って去ってもうたんは俺やし、向こうも気にはするやろうけど…
何もあんな辛そうな顔せんでもいいのに。



スッと立ち上がってもう一度振り返る。
そのままヤスの元へと行き、ヤスの驚いた顔を無視して隣に腰を下ろした。





「…渋やん?」





少し弱気なその声に俺は黙ったまんま。
これじゃあ来た意味ないやん。
そう思っても、俺は素直じゃない人間やからなかなか難しいんやで。

誰に言うでもなく心で呟く。




そのまま、諦めたのかヤスは俺の隣でデッサンを続ける。

……………。


その様子を見つめて俺はそれでも黙って邪魔せんようにそこにいた。
何もせず、何も言わず、ただ隣に座ってるだけ。


きっとそれでいいんや。
これが二人の答えなんや。




そう思って、ヤスの顔を見るとうっすら微笑んでるように見えた。
気のせいかもしれん。
俺がいいように解釈しとるだけかもしれん。
それでもその笑顔が俺は好きやと思った。


自然と出てくるその素直さが素敵やな、って。





「…………ええんちゃう」

「…!?」

「……くちびる」



素っ気なく放った俺の言葉に、ヤスはまた柔らかく笑う。






「……よかった」


そう呟いたヤスは嬉しそうに微笑み、俺も気づかれないよう小さく笑みを零した。





end
  1. 2013/12/10(火) 13:50:41|
  2. やすば
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『ONE』Ⅱ ∞亮すば←ヤス

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「亮とヤスがお前のことカッコええ、言うてたで」

「は?……っうわ!」




いつもと同じ様にゲームしてる最中。
ヨコから放たれた言葉に俺は動揺したのか、ゲーム内でミスしてもうた。



「っははははは、下手すぎるやろ」

「最悪や…なんやねんお前、急に」




ゲームオーバーの画面見つめたまま落ち込んでまう。
いい線行っとったのになあ。
ほんま、急にわけ分からんこと言い出すヨコのせいやわ。


「お前ほんまおもろいなあ。動揺しすぎ」
「してへんわ。今のはたまたまや」
「ふーん。まあ、ええけど」
「…腹立つわあ」


我慢しとるけど顔が笑ってしまってるヨコを睨んでやる。
睨んでもヨコには効かんって分かってる。けど!これはどう考えてもヨコが悪いやろ。

無視したままリトライ押してゲームをはじめる。
その隣ではまだ楽しそうに見てくるヨコ。
あああ。もう。
あかん。



「なんやねん!うっとうしい」
「別にー。気にせんかったらええやん。早よゲームしーや」
「っ……ええわ。する気起こらんようなった!誰かさんのせいでな!」


パタンとゲームを閉じて立ち上がる。
「どこ行くんー?」とか呑気に言いながらそのまんまのヨコを無視して部屋をあとにした。





あとにしたのはいいものの、行くあてなんか全くない。
暇つぶしにと、持ってきてたゲームも全部楽屋に置いて来てもうた。
しゃーない。
怒って出て来てもうたんやから、今更取りに帰るワケにも行かんし…

自販機でコーヒーを買って近くのソファに腰掛ける。

誰も通りそうにないその場所は静寂に包まれてて、さっきまでの空気とは正反対やなあ、って感心してまう。



「………………」



"亮とヤスがお前のことカッコええ言うてたで"


ヨコの言葉がぐるっと一周する。
コーヒーを口に運びながら俺はソファに深く凭れ掛かり、眉間にシワを寄せる。



カッコええ、か。




…………
ありえへんな。俺が、カッコええとか。
こんな今もカッコ悪いのに。
何見て言うてるんや、あいつらは。


そんなもん。
お前らの方がよっぽどかカッコええのに。
器用で何でも出来る二人の方がなんぼほどカッコええか分かっとるんかな?

分かってへんやろなあ。
その気にしてない感じがまたカッコええんや。

なんやねん。
俺、年下のやつばっか褒めて何してるんやろ。めっちゃ情けないやん。





「…すばるくん?」

「………っ」


びっくりして椅子から落ちかけてしまった。
いつ現れた!?
亮が不思議そうに見てくるもんやから、俺も慌てて座り直す。


「な、何しとるん?」

「え?何って……コーヒー買いに」

ソッと指された先には自販機しかなくて、そりゃ飲み物買いに来る以外用はないよな、って納得してもうた。
…恥ずかしい。
めっちゃ恥ずかしいことにヨコの言葉を意識してしまってる俺がいる。


ガコンッ


亮はそんな俺を気にせずコーヒーを片手に隣へと腰掛けた。

「隣いい?」

「…おう」

座っとるやん。
そうは言わず下向いたまま返事だけをする。



沈黙。
気まずい。
けど、どちらも動こうとはせずこの時間をむしろ大事にしてる気さえする。

こうして亮とまともに話すこともなかなかないから、こんな機会に話したいこともいっぱいあるはずやのに…
あかん。
全く話せる気がせーへん。

山ほどある話題を言葉にすることが出来ひん。
なんやこれ。
俺がここで慌てたりしたらまた気まずいみたいになるやん。


試行錯誤してやたら考えるけど答えなんか思いつかん。
だって俺アホやんか。
何も浮かばんの仕方ないやろ。

何も、別に、意識とかもしてないのに。


"かっこええ言うてたで"


ああ。
ヨコの言葉を忘れようと思うほど自分が意識してることに気付いてまう。
………かっこ悪いやん。


そんなん思われてて嬉しいとか、俺ちょっと情けなくない?




「あのさ…」
「あの…」



かぶった。うわ、最悪や。
俺の言葉と、亮の言葉が交差して、お互いが一歩引いてしまう。
俺は手でどうぞと伺うけど、亮もまた同じ行動するもんやから、思わず笑ってもうた。



「いや、ええよ。亮が言うて。俺の話は対した事やないから」
「でも…俺も別にそんな言わなあかん事でもないんやで」


ギクシャク、ってこういう時に使うんかな。
とんでもない空気に俺はひとつ深呼吸。
とりあえず、俺は亮にとってどう転んでも先輩やねんから、カッコつけなあかんやろ。

そう思って、ふとヨコの言葉が蘇る。





かっこええって…………


ああ。
これか。




俺がカッコええんじゃなくて、カッコつけてるんや。
それを亮はカッコええって勘違いしとる。
それって、………ほんまの俺やないやん。



「すばるくん?」



黙ってしまった俺を心配するように伺う亮と、目を合わすことが出来ん。
亮が憧れてる俺は、俺やない。
あからさまにショック受けてる自分に戸惑ってしまう。
嘘っぱちでデタラメな俺のこと、亮はカッコええとか思っとる。
目をキラキラさせて訴えてくる。

なんでこんなショックなんやろう。




スッと立ち上がって缶を捨てる。
ガコンっと捨てた音がただただ響いて、驚いたように亮が俺を見つめてくる。

俺は振り返り苦笑してしまった。




「俺は、なんもカッコええことない」





小さな呟きのように零れ落ちた言葉は、亮にしっかりと届いたようだ。
深く座ってた腰を少し上げて座り直す亮は、どこか慌てた様子で、俺は構わず話を続ける。



「すばるBANDの曲……あるやろ?」

「………ONE、のこと?」



お互いに、恐る恐る話す。
俺は亮に本音をぶつけるのは初めてのことやし、亮がどこまで受け止めてくれるかは知らん。
だからこそめっちゃ怖い。
カッコええなんて、もう一生思ってもらえんかもしれん。

それでも。
嘘の俺に憧れてる亮のことを思うと、言わなあかんって思った。
俺の体裁よりも、亮の純粋な気持ちが大事やろ、って。
素直にそう思ったんや。




「そう。その曲の、歌詞わかる?」

「もちろん!すばるくんが作詞したんやろ?めっちゃカッコええもん」



カッコええ、か。
あれがただの作詞で、ただの空想の話ならカッコええんかもな。
あんな奴なかなか居らんやろ?って笑い話にさえ出来るもんな。



でも、ちゃう。

俺にそんな文才があるわけない。
勝手な物語を作れるほど器用でもない。
偉そうに語れる想いもない。


あれは、
あれは全部…



「実話や言うたら、どうする?」




俺の話や。
弱い情けない何もかもに負けっぱなしの俺。
それを全て歌にした。

この事実を全て事細かに知ってるのは、ヤスくらいかもなあ。
歌詞見て知ったのはヨコとヒナ。
あとは、何も言うてこんから分からん。

でもはっきりと口にして、曝け出したんは紛れもなくヤスだけで。
ヤスはただただ聞いてくれて、一緒に泣いてくれた。


正直、歌にするんも怖かった。
言葉にしてしまうと、その事実から逃れられへんようになるし、ずっと思い出として記録されてしまう。

でもヤスは違った。

そういう考え方を一切しなかった。

歌ってしまえば楽になる。
ここから前に進めばいい。
歌えるってことは吹っ切れた証。
歌いたいと思うまで封印してればいい。
歌いたいと思ったら俺に言ってほしい、と。


たくさんのモヤモヤが吹っ飛んだ気がした。
救われた気がした。

だから………
だから。





「歌うことにした」

「…………」

「いっそのこと歌ってもうたら、何も考えんでええかなって」



そうして、俺は亮に笑えたんやろうか。
亮の俯いたまま伏せられた目が見えなくて、少しばかり不安が押し寄せてくる。

きっと。
亮は真面目な奴やから、俺のこの本音にショックを隠しきれんのやろう。
似てるからこそ分かる。

真面目すぎて、一生懸命で、真っ直ぐな奴やから、余計に考えさせてしまうんや。



自分が憧れてた人間が、こんなにも理想と違ったら誰かって戸惑うやろう。
それを亮なりに今必死で汲み取ろうとしてくれてる。

もう一度隣に腰掛けてダランと背凭れに背を預ける。





亮の膝の上で握られた拳が静かに震えているのを見て、ごめんな、と心の中で呟いた。








"気がつけば一人部屋の中"

"いつも暗闇で全てを塞いだ"


"このままもう何もかもが"

"壊れるならそれでもいいかな"



「…………ん」

「亮?」

「ごめん、すばるくん」



一生懸命に伝えてくれる亮からの言葉に、俺は目を丸くさせてしまった。
どうして謝るんやろう、こいつは。
何も悪いことなんてしてないのに。
むしろ、俺が謝りたい気持ちでいっぱいやのに。

その目が真剣すぎて、笑って流すことも忘れてしまう。





「なん、で。亮が謝ることやないやろ」

「ううん。気付けんかった。…俺、こんなにすばるくんのこと想っとったのに…見とったのに、気付いてあげれんかった!」


自分を責めるように話す亮を俺はただ見つめるしかなかった。
こんな風に、亮はいつも俺のことを考えてくれとる。
それは痛いほど俺にも伝わってて、俺もまた知ってて知らんふりしとった。



だから謝るのは、俺の方。




「…亮。それ以上は言うたあかんで」







嫌われたくない一心で、俺は亮に弱音を見せたくなかったんや………と今気付いてしまった。


今気付いた、とか…
それさえも嘘かもしれん。
自分に対する言い訳。
ホンマは気付いてたのに、今気づいた様に錯覚させる俺はずるい奴。



「すばるくん?」




ポンっと亮の頭に手を乗せて笑う。
これが今の俺に出来る精一杯の愛情表現。
ありがとう。って伝えるよりも伝わるやろ。


亮やし、分かってくれるやろ。






「俺、子供ちゃうよ?」

「別に。そういう意味やないから」



恥ずかしそうに眉を寄せる亮が面白くて自然と微笑んでまう。
あったかい。
優しい奴やなって改めて思う。



「……よっしゃ。ヨコんとこにゲーム置いてきたままやし戻るわ!」

「……ん。俺も後で向かう」



そうか。
呟いて伸びしてそのまま背を向ける。

亮の気持ちは知ってた。
憧れからの想いやろ、って勝手に解釈してた。

でも、俺が思ってたよりも亮の心はこっちに向いてたみたいで、
俺はその気持ちを知ってもなお、踏み出そうとは思えんかった。


大切なメンバー。
俺にとって、それは、みんな同じで。



亮だけを特別な位置に置いていいわけない。





分かってる。
分かってるから。





強く心で唱えて、ゆっくりと一歩を踏み出す。






"心とは無関係に季節は巡り"

"懐かしく新しい空気の中"


"強く信じ前に突き進むことで"

"全てが生まれ変わる"









「やっぱ、かっこええよ」


残された呟きは人知れず響き。
今日もまた一日が終わる。















「なんちゅー顔しとるん?すばる」



戻った先にはヨコがどこか悲しげに笑ってて、俺は同じように眉を顰めるしかなかった。

ああ。
俺は今、どんな顔しとるんやろう。


ヨコの先に見えるヤスの優しげな顔見たら、ちょっとだけ泣きそうになる自分がいることに気づいた。





もし、運命というものが変えられるのなら…
手を伸ばしてでも掴み取るんやろうか。
奪い取るんやろうか。


俺は、
この選択肢で間違ってなかったんやろうか。





end
つづく。
  1. 2013/12/07(土) 07:35:26|
  2. 亮すば
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